04 マッサンのふるさと
竹鶴政孝・リタ夫妻の銅像

マッサンのふるさと

広島県への旅行で、心に残るグルメや地酒を求めているなら、「安芸の小京都」と呼ばれる竹原市を訪れてみませんか?

ここは、NHK連続テレビ小説「マッサン」の主人公であり、「日本のウイスキーの父」と称される竹鶴政孝(たけつる まさたか)が生まれ育った場所。

彼が日本での本格的なウイスキー造りという夢を抱き、その情熱を燃やす原点となったのが、この竹原の地です。

彼の生家である「竹鶴酒造」をはじめ、歴史ある酒蔵がいまも息づく町並み。竹原でしか味わえない絶品グルメも魅力です。

この記事では、マッサンの足跡と、彼を育んだ竹原の豊かな「食」と「酒」の文化を徹底ガイド。広島旅行で外せない、ディープな魅力をご紹介します。

日本のウイスキーの父「マッサン」の原点、竹原

今や世界的に評価されるジャパニーズウイスキー。

その礎を築いたのが、竹原出身の竹鶴政孝、通称「マッサン」です。彼の情熱の物語は、この竹原から始まりました。

竹鶴政孝の生家である竹鶴酒造の家族が集まった古いモノクロ写真
1899年の竹鶴家(下段中央が政孝)

酒造りの町で育ったマッサン

1894年、江戸時代から続く「竹鶴酒造」の三男として政孝は生まれました。
政孝が子どものころ、広島の酒造業界は、三浦仙三郎をリーダーに、灘の酒に負けない高品質の酒造りを成功させていました。幼い頃から、政孝の父・敬次郎の酒造りへの熱気を感じながら育ち、酒造りへの探求心が自然と培われていきました。

若かりし日の竹鶴政孝とリタ夫人のモノクロ写真

スコットランドへの情熱

政孝は、大阪工業学校(現・大阪大学)醸造科を卒業後、摂津酒造に入社。やがて彼は、日本酒ではなく「ウイスキー」という未知の酒に魅了されます。

「日本人に本物のウイスキーを飲ませたい」という熱い想いを胸に、20代前半で単身スコットランドへ渡航。 ここで運命の人・リタと出会い、1920年にリタと結婚しました。

現地の大学で化学を学びながら、蒸溜所でウイスキー造りの実習に明け暮れ、本場の技術を徹底的に学び取りました。

「日本のウイスキーの父」へ

帰国後、様々な困難を乗り越えてニッカウヰスキーを創業しました。北海道・余市と宮城・宮城峡に理想の蒸溜所を建設し、生涯をウイスキー造りに捧げました。
彼がいなければ、今日のジャパニーズウイスキーの発展はなかったと言われる、まさに「日本のウイスキーの父」です。

どっしりとした瓦屋根と白壁が特徴的な、歴史ある竹鶴酒造の建物外観

すべての原点は「竹原」に

彼がウイスキー造りで最も大切にしたのは、スコットランドで学んだ伝統的な製法を守り抜く「本物志向」の精神でした。その頑なともいえる情熱のルーツは、幼い頃に触れた竹原の「竹鶴酒造」での、妥協のない日本酒造りの精神にあります。

マッサンが育った時代の面影が残る美しい町並みを歩き、彼の生家である「竹鶴酒造」の前に立てば、ウイスキーに捧げた彼の熱い人生の「原点」に触れられるはずです。

広島屈指の酒どころ! 竹原「三蔵」巡り

竹原が「酒の町」と呼ばれる所以は、マッサンの生家だけではありません。この地は古くから良質な水に恵まれ、日本酒造りが盛んに行われてきました。現在も、町並み保存地区周辺には個性豊かな3つの酒蔵が集積しています。

日本酒好きはもちろん、酒蔵に興味がある方なら必見の「酒蔵巡り」は、竹原観光で注目のコンテンツです。
それぞれの蔵の歴史や酒造りへのこだわりに触れながら、お気に入りの一本を見つけるのも旅の醍醐味です。

竹原の三蔵

江戸時代の酒蔵の面影を残す、竹鶴酒造に併設された資料館の外観

1.竹鶴酒造(たけつるしゅぞう)

マッサン竹鶴政孝の生家。享保十八年(1733年)に酒造業を始め、長きにわたる伝統を持ちます。広島県下で唯一、全量を純米酒で醸す蔵であり、江戸時代の「生酛(きもと)造り」や「木桶仕込み」を復活させるなど、伝統的な製法を追求。代表銘柄「竹鶴」は、軟水醸造法が生む「キレ」と、豊かな「旨味」の証である黄金色が特徴の、力強い食中酒です。

大きな酒樽が並ぶ、歴史を感じさせる酒蔵の藤井酒造の内部風景

2.藤井酒造(ふじいしゅぞう)

文久三年(1863年)創業。代表銘柄「龍勢(りゅうせい)」は、明治時代の第一回全国清酒品評会で首席に輝き、さらにIWC(国際ワインチャレンジ)2007の日本酒部門で最高金賞を受賞した実力派。早くから純米酒のみを醸す蔵として、飲み飽きしない食中酒を目指しています。敷地内の酒蔵交流館も人気です。

「誠鏡」の文字が見える、趣のある中尾醸造の建物外観

3.中尾醸造(なかおじょうぞう)

明治四年(1871年)創業。銘柄「誠鏡(せいきょう)」は皇室御用達の栄誉を賜ったことでも知られます。独自の「リンゴ酵母」と「高温糖化酒母法」を開発し、フルーティーな香りの酒造りで全国に名を知らしめました。IWCでは「幻(まぼろし)黒箱」が金賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。

お酒のお供に! 竹原のおすすめ土産

酒蔵巡りで手に入れた日本酒に合わせて、竹原ならではのお土産はいかがですか?
お酒の美味しさを一層引き立てる、地元自慢の逸品をご紹介します。

鮮やかなピンクや白の蒲鉾、天ぷらなどが盛り合わされた竹原名産のスリ身製品

かまぼこの近末(ちかすえ)

保存料を使わず、厳選素材の味を活かした老舗の味です。すっきりとした口当たりのかまぼこは、竹原の日本酒のおつまみにぴったりです。地元で長く愛される親しみのある味わいです。

旨味が凝縮された、大粒の牡蠣のオイル漬け

スモークドオイスター オイル漬

瀬戸内海の自然が育んだ「広島県産かき」を、香りのよい木材でじっくりと燻製にし、綿実油に漬け込みました。油を控えたバージョンもご用意しています。

竹原グルメの魅力!

竹原にはお酒の他、魅力的なグルメもあります。

瀬戸内の新鮮な海の幸・山の幸

海に近い竹原は、瀬戸内海で獲れる新鮮な魚介類も自慢。特に「穴子」「鯛」「牡蠣」「タコ」「チヌ」は名物の一つです。ほかにも、竹原のブランド牛である「垰下(たおした)牛」や「藤原牛」、「れんこん」「じゃがいも」「たけのこ」など、竹原はお酒に合う食材の宝庫でもあります。

瀬戸内の海の幸をふんだんに使った、竹原の伝統的なおもてなし料理「魚飯」

魚飯(ぎょはん)

江戸時代から続くおもてなしの郷土料理です。焼いた白身魚のほぐし身や彩り豊かな具材をご飯に乗せ、熱々の旨みだし汁をかけて味わう、ひつまぶしのような逸品です。

鉄板で焼かれた、ソースたっぷりのボリュームあるたけはら焼

純米吟醸たけはら焼

酒都ならではのご当地お好み焼きです。生地に日本酒の「酒粕」を練り込んでいるのが特徴。ふんわりとした食感と、ほのかな酒粕の風味が食欲をそそります。

食と酒に酔いしれる「竹原」満喫モデルコース

じっくりと食と酒を味わうなら1泊するのがおすすめ。詳しくはモデルコースページをご覧ください。

さいごに

ニッカウヰスキーの父・マッサンが育った町、広島県・竹原市。
彼の原点である日本酒の文化が色濃く残り、その酒と共に育まれた絶品グルメがあふれる町です。

美しい町並みを歩き、酒蔵の歴史に触れ、地元グルメに舌鼓を打つ。

広島旅行の際は、ぜひ竹原まで足を伸ばし、ここでしか味わえない「食」と「酒」に酔いしれる、贅沢な時間を過ごしてみてください。