たけはら
町並み保存地区
白壁と飴色の趣のある格子窓が続く通り、しっとりと落ち着いた本瓦葺きの屋根。
重要伝統的建造物群保存地区に選定された「たけはら町並み保存地区」に足を踏み入れると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚に包まれます。
「安芸の小京都」とも称されるこの「たけはら町並み保存地区」は、ただ古い町並みが残っているだけではありません。ここは、かつて瀬戸内海有数の「塩」と「酒」の生産地として栄華を極めた歴史が、今もなお色濃く息づく場所。
なぜこれほどまでに美しく、重厚な町並みが生まれたのか。その秘密は、この町を日本遺産たらしめた「塩」と、その塩を全国に運んだ「北前船」の物語に隠されています。
まるで時が止まったかのようなレトロな風景の中で、この町を築き上げてきた人々の息吹を感じる旅に出かけましょう。
- たけはら町並み保存地区
- 「塩」と「富」の物語
- 日本遺産を深く知る
- 町並み散策ハイライト
- 立ち寄り・体験スポット
- 観光ガイドがおすすめ
- さいごに
日本遺産が語る「塩」と「富」の物語
この見事な町並みは、江戸時代に「入浜式塩田」による製塩業で財を成した「浜だんな」と呼ばれる豪商たちによって築かれました。そして、彼らに莫大な富をもたらした原動力こそが、「北前船」だったのです。
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北前船が運んだ「竹原の塩」
北前船とは、江戸時代中頃から明治にかけて、大量の荷物を積んで大阪と北海道を日本海周りで往復していた商船群のこと。竹原は、その重要な寄港地でした。
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最大の顧客、最大の運び手
北前船の商人たちは、竹原で主要産品であった「塩」を大量に買い付けました。竹原の塩は、北前船によって遠く北海道にまで運ばれました。
今の新潟県糸魚川市(北前船寄港地)へ塩が到着した際には「タケハラが来た」、塩を購入することを「タケハラを買う」と表現されるほど塩の代名詞として全国に名を馳せました。「たけはらの塩」はブランド化が図られていきました。
寛政7年(1795年)に津村淙庵が著した随筆集『譚海』の中で、「北廻りの船は、安芸の竹原に船を寄せて塩を買い、北国で販売するのが、いつものことだ」と評されるほど、北前船との塩の取引で栄えました。
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塩が富を生み、富が町並みを生む
「浜だんな」たちは、この北前船交易を基盤に「塩問屋」として、あるいは「酒造家」として、その財を築き上げました。そして、その豊かさを投じて意匠を凝らした豪華な屋敷や神社仏閣を次々と建設したのです。
現在の重厚な町並みは、まさに「塩」と「北前船」がもたらした繁栄の生きた証であり、そのストーリー全体が日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」として認定されています。
日本遺産を深く知る - 北前船が残した5つの記憶
竹原の日本遺産ストーリーは、以下の5つの「構成文化財」によって、当時の交易の活気と繁栄を具体的に物語っています。
1.竹原市竹原地区伝統的建造物群保存地区
2.旧吉井家住宅(非公開)
3.常夜灯群
4.市立竹原書院図書館資料群
5.紙本著色竹原絵屏風
繁栄の「絵図」
1800年頃、まさに製塩業と北前船交易で竹原が最も繁栄していた時代の町並みを描いた絵屏風です(現在は市立竹原書院図書館所蔵)。当時の活気ある人々の暮らしや、連なる商家、港の様子が視覚的にわかります。まさに「時が止まった」かのような現在の町並みが、この頃から変わらずに続いていることを示しています。
“レトロ”を巡る - 町並み散策ハイライト
歴史を知ると、散策の楽しさも倍増します。
ノスタルジックな風景の中、必ず訪れたい見どころをご紹介します。
1.【絶景】京都・清水寺の舞台を模した「西方寺・普明閣」
2.【建築美】豪商の粋を訪ねる「豪邸建築」
旧吉井家住宅以外にも、「浜だんな」たちが残した屋敷は、当時の繁栄ぶりを今に伝えています。
3.【発見】家々の表情「竹原格子」を探して
町並みを歩いていると、家々の窓を彩る「格子」のデザインが驚くほど多様なことに気づくはずです。
「竹原格子」と呼ばれるこれらの格子は、出格子、塗格子、虫籠窓(むしこまど)など種類も様々。中には「幸せのハート」や「手裏剣」のような遊び心あふれるデザインも隠されています。お気に入りの格子を見つけながら歩くのも、この町ならではの楽しみ方です。
竹原時間をもっと深く - 立ち寄り・体験スポット
ただ歩くだけでなく、 “竹原時間”に溶け込む体験はいかがですか。
町並み散策には観光ガイドがおすすめ
歴史文化を深く知るには町並み観光ガイドがおすすめです。
所要時間90分~120分ほどの散策で、地元観光ガイドが美しい町並みを詳しくご案内します。
2日前までに予約が必要です。
基本的には1名のガイドにつき約20名様までご案内できます。
(猛暑を考慮し、8月中の本ガイドは休業の予定にしております)
【申込先】たけはら観光ガイド会(道の駅たけはら内)
TEL:0846-22-7730
FAX:0846-22-1201
ガイド料:ガイド1名につき2,000円(税込)
- 第3水曜日は休館日です。
さいごに
時が止まったかのような静かな通り、精緻な格子の奥に隠された豪商たちの夢、そして海を越えた「塩」の物語。
たけはら町並み保存地区は、訪れる人を優しく包み込み、日常を忘れさせてくれる不思議な魅力にあふれています。
あなたもこのレトロな町で、自分だけの「時」を見つける旅に出かけてみませんか。