焼きたての香りに誘われて。竹原のパン屋を巡る
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Eat & Drink
取材先
村上ベーカリー
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住所
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725-0022 竹原市本町1-2-7
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営業時間
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11:00〜17:00
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定休日
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月〜金曜
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Webサイト
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アクセス
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JR竹原駅から徒歩約10分



給食から始まった、週末だけのパン屋さん
− 村上ベーカリー
たけはら町並み保存地区にある「村上ベーカリー」は、土日限定でオープンする、地域密着型のパン屋さん。というのも、1950年に学校給食をつくる会社として創業し、今も竹原市内の給食を一手に引き受けているからです。平日は給食づくりや配達に専念し、週末だけ店を開いて直接販売をしています。店主は3代目の村上弘一さん。「自分が食べたことのないパンを、竹原から届けたい」という思いを胸に、大阪や広島で経験を積み、30代で地元に戻ってきました。



「竹原の食材を使うことが店のポリシー」という思いの通り、店内を見渡すと、竹原の海水塩や小梨地区の米粉、松屋二重焼本舗のあんこなど、ここならではの食材の名前があちこちで見られます。看板メニューは、愛らしいうさぎをモチーフにした「うさぎ食パン」。これは、竹原の観光名所、大久野島にいるうさぎに由来。村上さんが偶然テレビで見た動物モチーフの食パンに感銘を受け「東京まで作り方を教わりに行きました!」とオリジナルの型から揃えた力作です。




味にも妥協がない村上さん。中でも注文後に店頭で揚げる、アツアツの「竹原ビーフカレーパン」は、竹原特産の峠下牛に合わせてスパイスを調整し、食感までこだわっています。
「長年学校給食に携わってきたので、“あなたのお父さんに大きくしてもらいました”と声をかけてくださる方もいるんです」。その言葉を、次は自分が受け取れるように。村上さんのパンづくりはこれからも続きます。

探究心から始まった、パン屋という人生
− 恵みパン工房 RyuRyu
「リュリュ」という愛らしい店名で親しまれる、忠海の沿岸部に位置するパン屋「恵みパン工房 RyuRyu」。店主の龍王恵美さんは、10年間パン教室の先生として経験を積み、2016年に店をオープン。子どもからお年寄りまで親しまれるパンをつくり続けています。
埼玉出身の龍王さんは、結婚出産を経て旦那さんの実家、忠海に移住。慣れない土地での暮らしが始まる中、偶然電子レンジに付いていたパンづくり機能に気がつき、試しに焼いてみたことが今の原点だと話します。



「最初はまったく上手にできなかったんです」と龍王さん。しかし、持ち前の探究心から何度も練習を重ね、子育ての合間を縫ってパン教室に通うように。「もっと上手になりたい」。その思いは、いつしか自身が先生としてパン教室を開けるようになるまでに成長。パン屋となってからは、当時の生徒だった人たちと一緒に店頭に立ち、約20種類の優しい味わいのパンを届けています。



一番人気は甘さ控えめの「さくさくメロンパン」。そのほか、近隣の方が育てたじゃがいも入り「じゃがいもパン」もリュリュらしい一品です。
リュリュは2026年5月に10年目を迎えます。人生を「山あり谷あり」と表現し、作り手として、また経営者として走り続けてきた龍王さん。「ここまで続けてこれたことに感謝しながら、次の力を蓄えていく」。今、そんな節目を迎えているようです。



ついトレーいっぱいに選んでしまうのも、パン屋を訪れる醍醐味。甘いものと少し塩気のあるもの、お土産用を選んだら、気のむくままに散策へ。家に着くまで待ちきれずに頬張り、「あれも買っておけばよかった~」と思う時間も、また楽しいものです。
竹原で立ち寄りたい2軒のパン屋さん。異なる背景ながら、どちらからも伝わってくる、作り手の思い。旅の思い出が、焼きたてのパンの香りとともに残りますように。


