取材先
竹原の桜めぐり
海と空、桜が美しく重なる山の上で
− 朝日山展望台

標高454mの朝日山展望台は、竹原市街地と瀬戸内海を一望できる、知る人ぞ知る絶景スポットです。登山道としても親しまれていますが、頂上手前まで車で行くことができ、春にはお花見を目的に訪れる人の姿も見られます。駐車場からは、山道に点在する子地蔵を辿りながら山頂へ。
展望台に登れば目線と同じ高さで桜を望めることができるほか、東屋周辺の桜も美しく、休憩がてら海と空、薄桃色の花が重なる風景を味わうことができます。天気の良い日には、遠く四国連山まで見渡せることも。道幅が狭いため、車で訪れる際はコンパクトカーがおすすめです。

毎年帰ってきたくなる、思い出の桜並木
− ピースリーホーム バンブー総合公園
市民の手によって少しずつ植えられてきたバンブー総合公園の桜は、現在20種類、約1,300本以上。春になると園内一帯にやさしい景色が広がります。ソメイヨシノが咲き誇る並木道に加え、花弁が多く華やかな大村桜や、緑色の花を咲かせる御衣黄、荘川桜の二世・ヨコハマザクラなど、珍しい品種に出会えるのもこの場所ならではです。
「竹」をテーマに整備された園内は、子どもからお年寄りまで誰もが気軽に訪れ、思い思いに春の時間を過ごせる場所。毎年足を運ぶなかで、桜とともに家族の成長を感じている人も少なくありません。



夜には提灯に灯りが入り、ベンチや芝生でくつろぎながら、幻想的な夜桜を眺めることができるのも、この公園ならではです。昼間とは違い、あたりに落ち着いた空気が流れます。ここでは、そんな穏やかな春の夜を過ごしてみてはいかがでしょう。



竹原の春を知らせる、川沿いの桜道
− 賀茂川の土手沿い


市内を流れる賀茂川は、竹原の風景をかたちづくってきた象徴的な川です。中でも竹原中学校から国道185号線にかけての土手沿いには桜並木が続き、春になると川面と桜が美しいコントラストを醸します。通勤や通学の途中でふと目に入り、桜の色づきから春の訪れを実感する人も多いことでしょう。
中学校にほど近いこともあり、放課後の帰り道や何気ない会話が似合う、どこか青春の気配を感じさせるのもこの場所の特徴。周辺は住宅地であるほか、道幅が狭く車の往来もあるため、立ち止まらずに、散歩がてら春の景色を楽しむのがおすすめです。
夫婦の仲を穏やかに見守るエドヒガン
− 小梨の夫婦桜
竹原市中心部から車で約15分。小梨地区は、かつて小早川氏の庶流である小梨氏が拠点を置いた、歴史ある里山です。米づくりをはじめとした農業が営まれ、名水や蛍の生息地としても知られる、自然豊かな土地。その一角に立つのが、樹高約20m、幹周囲3.07mのエドヒガン「小梨の大桜」です。
幹元から二つに分かれる姿から「夫婦桜」と呼ばれ、地域の人々に親しまれてきました。「この桜の下で花を眺めると夫婦円満になる」そんな言い伝えも残っています。華やかさ以上に、長い年月を重ねてきた姿に、胸を打たれる一本桜です。



“桜の門”をくぐる特別なひととき
− 照蓮寺
町並み保存地区の北側に位置する照蓮寺。この地域のお花見スポットとしても知られ、春には境内の門前に桜がアーチ状に咲き、まるで“桜の門”をくぐるような風景が広がります。歴史ある建物と桜が織りなす景色に惹かれる人も多く、結婚式のフォトスポットとして選ばれることも。
境内いっぱいに咲く桜はもちろん、花吹雪が静かに舞い、足元を淡く染めていく光景もまた格別。散りゆく姿までも美しく、ふと時間を忘れてしまうような、春ならではの時間が流れます。町並み保存地区を散策がてら、カメラ片手にふらりと立ち寄りたくなる、心に残る一景です。



地域とともに歴史を刻む、里山の大桜
− 宿根の大桜
竹原の山里、国道から細い道をたどり、宿根(すくね)の集落をしばらく進んでいくと、地域を静かに見守るように立つ「宿根の大桜」に出会います。樹齢約200年といわれるエドヒガンで、2014年には竹原市の天然記念物(市重要文化財)にも指定されました。
集落の暮らしとともに歳月を重ねてきたこの桜は、地域住民による「宿根の大桜保存会」を中心に、今なお大切に守られています。ソメイヨシノの親木としても知られるエドヒガン。花は小ぶりながら淡い紅色が美しく可憐さの奥に、野生種ならではの貫禄を宿した姿を見せてくれます。






<お知らせ>
宿根の大桜は2025年に倒木し、現在は根元のみとなっています。近くまで立ち入ることはできませんが、市の重要文化財(天然記念物)として、根が生きていることを願いながら見守られています。道なりにはソメイヨシノも静かに佇んでいます。春の散策のなかで、足を運んでみてください。
春の訪れとともに、私たちの心をそっとゆるめてくれる桜の風景。芽吹きから満開、そして潔いほどの散り際まで、その姿は「また一年、歩き出そう」と背中を押してくれるようにも感じられます。
竹原には、日常のすぐそばにある桜から、わざわざ訪れたくなる一本桜まで、さまざまな春の景色があります。ひとりで静かに、大切な人と並んで、友人と語らいながら——。あなたの心に残る桜は、どんな風景でしょうか。今年の春も、竹原の桜に出会いに出かけてみてください。