手間を惜しまず真っ直ぐに。元航海士が淹れる誠実な一杯

  • Feel

  • Eat & Drink

ルックアウト
マイプランに登録
手間を惜しまず真っ直ぐに。元航海士が淹れる誠実な一杯

取材先

ルックアウト

住所

725-0021 広島県竹原市竹原町2629-22

営業時間

7:30〜18:00

定休日

日曜

アクセス

JR竹原駅から車で7分

コーヒー通を魅了する元航海士

 竹原の中央を流れる賀茂川の下流付近。のどかに広がる葡萄畑や住宅地を抜けた郊外に、自家焙煎珈琲の店「ルックアウト」が佇みます。店内に入ると、フワリとコーヒーのいい香り。自宅の庭を改装して33年前にオープンしたここには、コーヒーを飲みに、コーヒー豆を求めに、あるいは店主の有本さんとのおしゃべりを楽しみに、全国から人が集まります。
 ユニフォームの蝶ネクタイがお似合いの有本さんは元航海士。「20歳で学校を卒業して、13・4年ほど船に乗りました」と、船乗りのエピソードを持つオンリーワンの焙煎士です。

 看板商品の「ルックアウトブレンド」は4種の豆を中深で焙煎したオリジナル。85~90℃で丁寧に抽出することで、雑味をなくしながらもコクが楽しめる一杯で、コーヒー好きはもちろん、苦手な人でも「ここの豆なら飲める」と評判です。
 その味を支えているのは、有本さんの日々の徹底した仕事にあります。朝から生豆を水で丁寧に洗うことで雑味となる薄皮を剥がし、営業後は、煎りむらや芯残りのないよう様子を見ながら焙煎。雑味の原因となる“くず豆”を1つずつハンドピックで除去。これらを少量ずつ頻繁に行うことで、常に焙煎したての新鮮なコーヒーを届けます。

船を降りて見つけた、一生をかける仕事

 店名の「ルックアウト」とは、航海士にとって重要な言葉 “Keep sharp look out”が由縁で、船の安全を守る「見張り」を意味します。厳しい眼差しで豆を選び抜き、焙煎を見守る姿勢は、まさに航海士時代の精神そのものです。

 有本さんがコーヒーの道に進んだきっかけは、家族と離れて暮らす寂しさでした。このままだと子どもが自分を忘れてしまう――そんな思いから、会社の新たなプロジェクトに立候補。その内容が、偶然にもコーヒー事業だったのです。

 船を降りてからは、東京で自家焙煎珈琲の第一人者・田口護氏に2年間師事し、豆の見極めから焙煎・抽出のすべてを学んだそう。その間あちこちのコーヒーを熱心に飲み歩き、「有本は毎日コーヒーを飲んで遊んでいる」とからかわれながらも、その後プロジェクトの集大成となる店を大阪にオープン。店長を2年勤めた経験は、皇室にコーヒーを供するという貴重な経験にもつながりました。

無理をせず、誠実に、“よいコーヒー”を

 4年間の濃密な経験を経て、地元・竹原でルックアウトをオープンさせました。郊外という立地は集客しづらそうな印象を受けますが、有本さん曰くここは一等地。全国各地を視察に巡る中、「無理のない店づくり」「“よいコーヒー”を出す」この2点がそろえば大丈夫という確信を得て「今は通勤時間0です」と、笑顔で話します。

 そして現在も、田口氏の教えである“よいコーヒー”を真摯に守り続けています。焙煎された豆のなんと美しいことでしょうか。コーヒーの味は「美味しいかどうか」ではなく豆の鮮度や品質が「よいか、悪いか」で決まると語ります。それが、有本さんが朝から晩までコーヒー豆と向き合う理由です。

 さらに、“よいコーヒー”を届けるためには「体調管理も仕事のうち」と、トマトジュースや白湯で体を整え、毎日のウォーキングも欠かしません。「自分が元気でなければ、人を元気にできないから」とニコリ。今日も変わらず、豆を真剣な眼差しで見極め、訪れる人を温かく見守りながら、力をくれる一杯を届けています。

( Other Article ) 関連する記事

This site is registered on wpml.org as a development site. Switch to a production site key to remove this banner.